最後のお葬式のバイト

葬式のバイトがとりあえず最後の勤務だった。通夜や火葬で食事を出すバイト。最後の通夜は、一番最初に組んだ人と二人きりでやった。初めて働いた日のことは、よく覚えてる。いきなり冷たくされたから。でも本当はいい人なのだ。一番良くしてくれた人だったから、お礼を言う時に泣くかもしれないと思った。雨が降ってきてしまって、もう車を移動しなきゃいけなくなって、これ以上やってると泣けてくるからこれで終わりだとか言われて、めそめそしている自分は置き去りにされて車は行ってしまった。きっとこれからたくさんのいいことがあるから、あんまり多くは抱えきれないんだ。だから色んなものを手放さなきゃいけないんだ。そうじゃなきゃ、あんまり寂しいことが多すぎる。自分で決めてるにしても。

次の日、料理長から普通に出勤の電話きてビビった。バイト募集の広告出すから、「働きやすい職場です!」みたいな写真撮らせてよ、と言われたので、写った。車、全く運転できないのに、配送してる風の写真や、弁当を運んでいる写真など。寂しい。学生時代、ずっと同年代の輪の中に入るのが苦手だった。そこから出たら、年上の人にはよくしてもらうことが多かった。

妙にめそめそしている。完全に映画のせい。もう数日経つ。イ・チャンドンの映画を見てから。これまでは、例えば辛い時、物語の力で現実に対抗してきた。物語の力で立ち向かってきたところがあるとする。なのに、今回ばかりは、これは映画であって、現実に起きたことじゃない、と自分に言い聞かせることで、少し落ち着いた。ところで明日のバンコク旅行から帰国する際に、例えば帰りの飛行機で隣り合わせた男がフォークナーとか読んでたらどうしよう…?村上春樹でも完全に怖い…。メタファーかな…?