夜中に目が覚めてそのまま眠れず友人に誘われていたバスツアーへ行った。一日中、移動と観光をするのだからかなりハードだ。あまり余計なことまで考えなくなってよかったなと思う。バスの中でもずっとお喋りをし、帰ってきてビル街の飲み屋で飲んだ。空気が乾燥しているから喉がからからになっていて体に染み渡るようだ。横のカップルがふたりともジュースに白米を取って食事しているのでどういう訳だろうとちょっと気にしていた。敬語で話している。私たちはもう一件はしごし、帰り道を上機嫌で歩いていると、さっきのカップルの女の人の方が別の人と別の店で飲んでいるのを見かけた。こういう偶然があるのが都会らしさだな。よく見つけたが。さっきの男といる時よりずっと楽しそうだったなと笑った。仕事関係か、デートにしては他人行儀…あとで思い当たったが、何かしらのアプリとかかもしれないな。あんまり想像するのは下世話か?

 

友人が紹介してくれた会社の上司を気に入って、気に入ったよと言っているだけなのだが、周りが全力でサポートするとか言って、めっちゃくちゃ盛り上がっているので、どうやらこっちまで本気になりそうだ。周りが全員幸せなタイミングでもあるせいで、まるでお前もこっちにおいでと言っているかのよう。一人なんか、私が長い失恋からいよいよ立ち直ったと涙まで出しそうな勢いだ。そんなわけがあるか。ひっきりなしにアドバイスが送られてくるが、要するに焦るなということらしい。ブレーキもエンジンも壊れた車に乗ってるのだから私は。駆け引きなんてしようがしまいがうまくいくときは上手くいくってだけじゃないだろうか?上手くいかない人と無理にうまくいかそうとしても結局はうまくいかないんじゃないか。でも私は知らない。健康なうえに恋愛までできるようになるのか私は。もう私は探したくない。嘘っぱちだとしてもなんとなく浮かれた気分だ。人を好きになる幸せをほんのちょっとだけ持っているみたいな。

今年中に会えるのはこれが最後だろう。駅の改札で手を握って別れた。なんとなく離したくないないなと思う手だった。離しちゃいけない手を離してきた今なんだろうか?