煙草の火でコートの裾を焼く

忘年会シーズンだからこんなに混んでいるのかと思ったが電車に遅れがでた事故の影響だった。終電に間に合わせる為に走る。横須賀線はどうしてこんなにも深いのだ。もぐらかよ。ビールを5杯は飲んだせいでトイレが近い。電車の中で我慢ができなくなってくるがここで降りたら終わりだ。横に立つ知人と次の駅で飛び出す算段を立てていると、斜め前のおじさんに、あそこがトイレなんじゃないですか?と声をかけられた。え?そうなんですか?いやすいませんわかんないんですけどたぶん。と。ここで目の前まで行ってトイレが無かった時のリスク。たぶん移動と期待で我慢しきれなくなるだろう。駅のトイレが空かなくてしびれていると、テンガロンハットをかぶった外人に、ソーリーソーリーと言われる。中に入っている女の人が知人らしい。間一髪間に合ったが、2017年最後の思い出を作るところだった。

 

しっかり飲んで男の人の家に行った。頭のいい、と思う、話が合うと言うには遠慮があるから、そういう人といくら話していても面白い。あとで喋りすぎたことを後悔するだろうが、嬉しく思い出すんだろうなとその時から思っていた。でも物事は全てが思い通りには運ばない。ひとつには、私は、いつもそこにあるものと向き合う時には、すでに手遅れなのだ。

食べ物を食べさせたり、くだらないじゃれ合いの意味を図りかねる。これはそういうことであってるんだろうか?いざ寝るということになるのなら事を済ませてしまわなければという義務感。女の人と寝るのが久しぶりだ、私もそうだと言った。寝れる?と聞かれて寝れるわけがね~だろと思って笑った。じゃああっちで寝るよと言う。いい子だから、そういう気持ちになれなくて申し訳ないんだ、と言われて、あっ、となった。恥ずかしくて笑った。してくれなくていいんです、と言って、すぐにお互い黙って、眠った。したくないなんて全く思わないが生理的な欲求は無い。私の体がほとんどそういう風なのだ。でもすごくいい男だなと思う。でも問題がある。私の方にも、向こうにも。ただ、そういうのは、全ての関係にあるだろうか。しかし大きいが。

これからの人生で二度と風邪と失恋はしたくないんすよね〜とその時思いついていったが、思い出して本心だなと思う。別に、もう、満足だ。

目覚ましをかけてくれた時間よりずっと早く早朝に目を覚ます。二時間ほど眠っていた。住宅街を抜けて大きな通りに出てバスに乗って帰った。一番いいパターンになったと思った。下心は最初からあったけれど、抱いてもらえない方がずっといいのだ。自分の中の期待も膨らんでいなくて、安心する。未来のことまで、考えない。難しすぎる。それでどうにかなるならすごいよね。人の寝ているうちに、黙って消えるのがマナーのような気がして、そうした。冷たい空気の中で吸える煙草がウマい。