今も書いてるんだ

数年前に文学賞の二次選考通過者の名前に学生時代の同級生の名前を見つけた。学生の頃から、友達と言うほど仲が良かった訳ではない。大体同じクラスだったし飲みに行ったことくらいはある。でもお互いに何を考えているのかまでは全然わからなかっただろう。卒業してからは思い出すことはあっても関わりは無かった。偶然名前に気づいた。嘘だ。私は一次すら通らなかったのだ。今も何か書いてるんだ、と思った。それからしょっちゅうその名前に気づくようになった。まだ何か書いてるんだ。こないだは、最終まで残った。講評で、内容にも触れてる。あと数日で、最終選考に残る数作が発表される。私は本屋にそれを確かめに行くだろう。その子の書いたものが、残るような気がしてる。もうすぐデビューするんじゃないかと思っている。それは、もしかしたら、学校にいた時から、そんな風に思っていたのかもしれない。みんなもそう思ってたかもしれない。今も書いてるんだ。こんなに書いてるんだ。

いや、仲なんて、全くよくなかったかもしれない。正直言うと微妙な感じだった。私はそう感じていた。でも気にしていた。だって、ライバルだし。みんな同じようなことをしているところだから。けど今じゃ、ライバルになんて、到底なれない。その頃ですら、ライバルなんて思ってたのは、私の方だけだったんだろう。今も書いてるんだ。デビューするのをこの目で見るんだ。きっとするだろう。いつかそんな日が来るような気がしてたんだ。