裸足で行く花火大会

春先に会ったきりだった気の知れた友人と会って来た。今年は花火大会に行く?と聞かれて、行きたいなあ、と答えた。去年は、行ったのに、結局、花火を自分だけが見れなかった。

 

学生最後の夏に江戸川花火大会に行った。卒業してからはずっと会わなかったが、数年前に久しぶりに集まった。それからは毎年、江戸川の花火大会になると同じメンバーで集まって、その時だけ顔を合わす仲間もいるから、楽しみにしていた。

去年はどういう理由だったか忘れたが…私が道に迷ったんだったか、遅刻したんだったか、とにかく、もうすでにみんな集まっていて、私は人混みをかき分けて、江戸川の河川敷を走っていた。そうしているうちに花火が打ちあがってしまって、グループラインで、「何してるんだ」「早くしろ」みたいなのがどんどんきて、手に持っているビニール袋の中のビールが、どんどんぬるくなって、汗が噴き出してきて…。

ここらを歩いている人は、歩きながら花火を見るつもりの人たちだから、きっとなかなか進まないんだ、もう、ショートカットするしかない、と思って、結構急な斜面だったけど、草むらを割って行ったら、足を滑らせて、思いっきり転がり落ちてしまった。すると土手でシートを敷いて花火を見上げているカップルの目の前に草の間から尻餅をついて突然登場してしまい、すごく驚かせてしまった。だ、大丈夫ですか!?と心配してくれたものの、恥ずかしいやら、痛いやらで、忍者のような格好で逃げるように立ち去った。が、やたら足元が軽い。あれっと思って見てみると、サンダルの鼻緒が切れている。しかも、両足だ。まずい、ただの板と紐になってしまった。どうしよう。壊れたサンダルを手に持って裸足で一歩二歩と歩いてみる。これは…めちゃくちゃ恥ずかしい!そして足の裏がすごく痛い!みんな私が裸足だって、気付くだろうか?海やプール以外で裸足で歩いてる人って、見たことあるっけ…?

 

早急にこの恥ずかしさから逃れたかった。靴屋、ないだろう。どっかにあった100円ローソンで、ビーサンでも買えばいいと思ったけど、見つからない。長靴でもスリッパでもハイヒールでも、もう今なら何でもいい。とにかく早く何か履きたい。壊れた靴を直せないかとも考えた。でも無理だったんだよ。壊れた靴の上で停止してることならできたけど。

 

早く行かないと。

花火が終わっちゃう。

けどもう、ダメだ。

きっと間に合わない。

 

裸足で走り回って、やっと見つけたスーパーでビーサンを見つけたら、コーラを6本買うと付いてくる景品だと言うので、6本レジへ持って行った。一刻も早く何か履きたい。道を歩くのより、お店に入る時の方が恥ずかしさは強烈だ。足の裏は真っ黒だし。

 

まだ花火は続いてたけど、何か深いダメージを食らった気分だったから、もう花火は諦めてしまった。駅前の蕎麦屋でコロッケとビールの食券を買って食べたよ。みんな花火大会に行ってるから、お客さんは私だけだった。

扇風機が椅子の上で回ってて、花火はフィナーレで一番盛り上がってるところだった。ちょっとは寂しかったけど。蕎麦屋のおばちゃんが、ビーサン目当てで買ったコーラをもらってくれた。その蕎麦屋で聞いた遠い花火の音が、その夏一番の思い出になってしまった。