今どうしてる?

昼寝から目がさめると、近所で大きな声がするのが聞こえる。多分、いらっしゃいませ、みたいな何か。八百屋かな?散歩でも行こうかなと思いながら、一服しても声が続いているので、外へ出て声のする方を探して歩いてみた。左の方から声がする、と思ったのに、少し歩くと全然声が聞こえなくなった。人の多いところでやってるんだろうと思い、通りに出てみると、車の音で声がかき消されるのか、またもや聞こえない。そもそも、右側だったのかなと思い、引き返して反対側に行くと、確かに声が聞こえる。だんだんはっきりしてくる。この建物の裏らしい。回ってみると、また声が遠くなる。

もしかして、何か野球でもやってる声かなあ、とも思ったけど、違う。もう一人、別の声も混じっている。安いですよ、みたいなことを言ってる。絶対この向こうだ、でも、ぐるぐるするばかりで、声が近くなったり、遠くなったりで、たどり着けない。

パン屋の前を通るとたまらなくいい匂い。コインランドリーの前は石鹸の匂い。昔、同級生がコインランドリーの斜め前のアパートに住んでいて、よく洗濯物が干してあるのが見えた。私はそのコインランドリーの前を自転車で毎日通った。その時、反射的に同級生の部屋の方を見上げてしまうのだった。ずっと後になってからその道を通ったら、同じようにしてしまったけど、同級生が住んでいた部屋にはもう誰もいないようだった。面白いやつだったなあ。あの時の彼女と結婚したらしい。車の運転が上手だったね。

声がまだ続いているのに、どうやってもたどり着けないので、諦めて帰ることにした。途中、顔に水がかかる。スプリンクラーの水が、風でこっちまで来たんだ。懐かしいな、小学生の頃、スプリンクラーから出る水を、飛び越えて見せてって、遊んだよな。

都会の方が、ずっと子供が多いな。私の田舎では、そもそも人が少ないし、年寄りが多い。道を歩いていても、犬の散歩をしている人と、たまにすれ違うくらい。だから、東京にいると、こんなに子供がいたんだと、ちょっと驚いた。どの公園にも子供が集まってる。

自分が2歳とか、本当に小さかった頃の話を思い出した。記憶はないので、母から聞いた話だけど、私には「かきおくん」という友達がいたらしい。ちょっと目を離した隙なんかに、「かきおくんと遊んでた」と言うらしいので、母が、かきおくんって誰?と聞くと、お山の方から来る、と言ったとか。小さい時にイマジナリーフレンド的なものがいる子は結構いるみたいなので、その類だと思う。

幼稚園に入る頃には、かきおくんの名前は出なくなったみたいだけど、それまでは、よく砂場で遊んだりしたとか。今どうしてるのかな。元気だといいな。一日、誰とも会わず話さずにいるので、頭が鈍ってきた感じもする。大人になったかきおくんと飲みにでも行きたい。でも、きっと忙しいね。