私は頑張るんだ。

本気でやぶれかぶれだ。元気を出せ、元気を、出すんだ。私よ、元気出すんだ。本屋に行って、棚を見てみたら、「死ぬこと以外かすり傷」ほんとかな?かすり傷からばい菌入って大事に至るほどやわではないだろうな…。

駅のホームで電車を待っていると、向かいのホームにいた駅員さんが、ゴリラのようなポーズを取って笑っているので、なんだ?と一瞬思うと、私の立っている向かいのホームでも駅員さんが同じポーズを取っていた。二人にしかわからない謎のサインがあるのだろう。

私よ、勇気を出すんだ。ここで頑張らなくて、いつ頑張るっていうんだ。

そういうシーンのある映画を撮ったことがある。もちろん、自主制作映画で、学生の時に。好きだった子に、気持ちを伝えられずに、離れ離れになるときに、向かいのホームから、振りかぶってキャッチボールのていで、玉をなげる。相手はおどけながら、受け止めてくれる。でも、電車がきて、遮ってしまう。別の子と知り合い、何もかも上手くいくかと思ったけど、別れ際、同じように振りかぶってみたら、まるで通じない。また電車が来て、遮ってしまう。

今じゃ皆それぞれだ。ちょっとだけかすってる仕事。まるで違う仕事。カメラマン、照明、大道具、メイク、衣装、助監督、ブライダル系の仕事、音響、AD、テレビ、CG、よくわからない仕事、なにやってるかわかんないけど頑張ってるらしい、行方知れず。私は行方知れずだ。

iTunesのシャッフルで不意打ちで懐かしい曲が流れると、誰だってウッとなるだろう。私が一番胸をえぐられるのは、撮ってた映像の音声ファイルが流れてきた時だ。シーン2,テイク1,カット1、カチンコの音。私が後で聞くのを知ってか知らずか、変な歌が入ってたりする。

頑張れ。頑張れ。頑張れ。絶対に頑張れ。